リレー小説
面白かったので 抜粋させていただきました
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コロラド大学で、教授は隣同士の学生にペアになってもらい、
リレー小説を書いて二人の意見がまとまって物語が完了したら提出させたそうです
そして以下のものが、実際に2人の学生によって教授に提出されたリレー小説
第一章(レベッカ作)
ローリーはどの銘柄のティを飲むか決めかねていた。
部屋でのんびり過ごしたい夜に、よく飲んでいたお気に入りのカモミール・ティ。
でも今それを飲むとカールのことを思い出してしまう。
二人が幸せだったあの頃、彼はカモミール・ティが好きだと言っていた。
けれど、彼のことをはもう頭から追い出さないといけない。
彼のことを考えすぎると胸が苦しくなって、なんだか喘息がひどくなったような気持ちになる。
だからカモミール・ティは選択から外そう。
第二章(ビル作)
その頃、攻撃艦隊を率いるカール・ハリス軍曹はスカイロン4の軌道上にいた。
一年以上も前に、たった一晩だけの熱い夜を過ごしたノイローゼで思慮の足りない喘息持ちのローリー
とか言うくだらない女のことよりも、もっと大事なことを考えなくてはいけないのだ。
銀河通信装置に話しかける。
「こちらハリス、静止衛星17どうぞ」「極軌道は確立しました。
現在のところ妨害は入っておりません…」
しかし彼が通信を切断する直前、粒子砲の青い閃光がきらめき、
あろう事か彼の搭乗する戦艦の貨物室をぶち抜いたのだ。
この衝撃によって、彼は座席からコックピットの向こう側へと吹き飛ばされてしまった。
第三章(レベッカ作)
彼は頭を打ち、ほぼ即死であった。だが死ぬ前に彼が受けた苦痛は、
彼のことを心から愛していた唯一の女性を精神的に傷つけてしまったという後悔だった。
そして、まもなく地球はこの平和な農夫たちの住むスカイロン4との、
無為な敵対関係に終止符を打つことになる。
ある朝、新聞を広げたローリーは「議会は戦争と宇宙旅行を永遠に廃止する法案を可決」
という記事を目にした。
その記事は彼女にとって嬉しくもあり、どうでもよかった。
彼女はぼんやり外を眺め、毎日がゆっくりと屈託なく過ぎていた若かりし頃を思い出していた。
思えばあの頃は、新聞もなければ、周りの美しいものに抱く素直な感動を邪魔するテレビもなかった。
「どうして無邪気さを捨てて、一人の女性にならなければいけないのかしら」ただ切なく考えを巡らせた。
第四章(ビル作)
ローリーがそのとき知らなかったのは、彼女にはあと10秒しか命が残されていないことだった。
遥か何千マイルも離れた都市から、アヌ・ウドリアン母艦が最初のリチウム核融合ミサイルを発射したのだ。
一方的に宇宙における武装廃止条約を議会に通し、無理やり推進しようとする、
うすのろで臆病な平和主義者どもは、
地球をむざむざと敵対する宇宙人たちの無防備な標的にしてしまった。
宇宙人たちは人類を破滅させることが狙いなのだ。
条約が可決してから2時間と経たずして、彼らの母艦には惑星を粉々にしてしまう兵器が積まれ、
地球へと向かっていた。止めるものは誰もおらず、彼らは迅速に極悪な計画を開始した。
リチウム核融合ミサイルは妨害を一切受けずに大気圏へと突入する…。
グアム沖の海底に停泊していたトップ・シークレットの移動潜水艦の中で、
大統領は想像も及ばぬほどの巨大な爆発を感じた。
それはつまらない馬鹿女のローリーさえも一瞬にして気化させた。
(レベッカ)
ばかばかしすぎるわ。もうこれ以上この文学のまがいものを続けるのは真っ平よ。
私の課題のパートナーは、暴力的で男性優位主義で、教養が半分の未熟な奴だわ。
(ビル)
そうかい?それを言うなら俺の課題のパートナーは、自己中心的で退屈で神経質で、
書く内容は文字通り精神安定剤と同等だ。
「ああ、カモミール・ティを飲むべきかしら」
「ああそれとも別の種類のくそったれなティがいいかしら」
「だめだわ、私どうしたらいいかしら」
「私は本当におつむの足りない間抜けだわ。きっとダニエル・スティールの小説を読みすぎたんだわ!」
(レベッカ)
ムカつく!
(ビル)
ビッチ!
(レベッカ)
ふぁっくゆー!この原始人。
(ビル)
夢でも見ておねんねしてな、そしてティでも飲んで来い。
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(教授)
評価:A+ とても気に入りました。
らばQより